一路一会>鉄道の旅・鉄路一会>青春18キップで廻る信州・北陸・飛騨の旅 | |||||||||
青春18キップで廻る 信州・北陸・飛騨の旅 |
|||||||||
1 |
|||||||||
残り2枚の18キップでどこに行くか。候補は紀伊半島一周と北陸ローカル線&高山本線による本州縦断だ。 高尾駅では、向かいのホームに6:14発中央本線(427M)115系3両編成が、ナイスなというよりもきわどい接続で待っていた。写真を撮っている場合ではない、あわてて席取りダッシュである。だが、本来は間髪いれず発車するはずなものの、どうもおかしい。 列車の発車ベルが鳴らない理由は明白で、またダイヤが乱れている。物静かなホームには、列車のアイドリング音と競うように、雨音が強まる。不安が頭をよぎる。 発車ベルがホームに鳴り響き、中央本線はゆっくりと高尾駅を出発した。駅構内の線路はまだ泥で埋まり、枕木やスラブ材の姿は見えない。茶色の中で青光りする線路の上を列車は滑るように駆けていく。日が昇ってくると、山霧に覆われた幻想的な山塊が姿を現してくる。大月駅の手前で、停止信号のため停車。なかなか動き出さない。車両トラブルでホームがつかえているらしい。朝一番のハプニングの連続。これで、また15分ほどダイヤが遅れている。 甲府盆地に入ると、再び車内放送が流れた。竜王から先が大雨の為徐行運転を行っているらしい。松本に着く時間が大きく遅れ、その後の乗り継ぎを考えると、旅程の大幅な変更を検討しなくてはならない。幸いにも徐行指令は甲府に着く前に解除された。この後の回復運転に期待するしかないが、雨や霧は依然として残っているわけだから、あまり大きな期待はできなさそうだ。この先松本での接続が後手後手に回ると、下手をすれば、1日目はおろか2日間の全旅程が狂いかねない。 |
|||||||||
「快速みすず」はダイヤの遅れを取り戻す(ような)勢いで松本をめざす。313系はあいかわらず、静かで快適な乗り心地だ。今日の旅の最初の予定は、松本から「篠ノ井線」に乗り換え、「日本3大車窓」と称されるスイッチバック駅の「姨捨駅」に降りる事だ。そして善光寺平をたっぷり堪能して、また折り返し戻ってきてから、大糸線で北陸をめざすプラン。大糸線の接続もたっぷり時間があるので、城下町松本で食事でも摂ろうという、たまにはこんなスローな旅もいいものだ。と、その後の事はあまり考えない。せいぜい日没までに富山入りが出来ればいいかな、くらいの落ち着きもある。というよりも、あえて考えないようにした。 |
|||||||||
2 |
|||||||||
大糸線の車両はJR東日本E127系と呼ばれるステンレス製の通勤型車両だ。しかし今乗る「臨時快速・あずみ野号」は国鉄114系2両編成だった。ボックス席は埋まっていたので、最前部の3人掛けロングシートを確保して発車までのあいだ写真を撮る。 信濃大町で、大町線の本来の車両である、ステンレス製のE127系2両編成(325M)に乗り換える。この車両は東京で使用されている(いた?)209系通勤型電車がベースで、VVVFインバータを搭載した3扉オールロングシートの車両。ローカル色は無いうえに、顔つきは一昔前の205系っぽい個性のかけらもないデザインだから始末が悪い。車内は大半がロングシートだが、北アルプス(飛騨山脈)側がボックス席になっており、平日の通勤通学客向けの合理性と休日の観光客への配慮がなされていた。窓は大きく、ロングシートに座っても北アルプスを車窓越しに見ることができる点には感心した。車内は明るく開放的。東北で旅行者に悪名高い701系に比べると、数段、いや遙かに上をいく車両である。 |
|||||||||