この久大本線は「本線」と命名されているものの、単線で電化もされておらず実態は立派な地方交通線である。
名前の通り久留米ー大分間141.5kmで駅数は36ある。「ゆふ高原線」の愛称を持つが、大半が平野部と山岳部も玖珠川の峡谷に沿って走るので高原線のイメージは無い。九州を横断するので「九大本線」の誤筆も多く見られる。
もともとは大正4年に大分の私鉄である大湯鉄道が大分と温泉地である天ヶ瀬間まで建設したのが始まりで、その後国有化されて、徐々に久留米方面へ延伸されていく。一方久留米方面からは久大線として建設が始まり、昭和9年にようやく2つは一本につながった。というものの、沿線には日田市を除いて大きな町はなく、自然と温泉を求めてやってくる観光客と学生の地域輸送で存続しているようである。車窓眺めながらそんな実態を考えているうちに列車は由布院駅1番線ホームに到着した。そしてホームでは記念撮影がひっきりなしに行われる。女性アテンダントは大忙し。
3番線ホームには大分行き普通列車(4845D)が待っていたが発車まで30分近くある。今朝日田駅で見たJR九州の新型気動車キハ200系100番台だ。大型で高速走行を追求した車両であり電車並みのダイヤ編成を可能にしたとか。JR総研と共同開発した爪クラッチ式変速機を搭載しているのが特徴。この車両のファミリーには片運転台2両編成のキハ200系と1両・両運転台のキハ220系がある。
車内はシックに黒でまとめられている。車体といい、内装といいJR九州のセンスの良さ、この思いっきりぶりは一体どこから来るのか。(答えは後ほど)
キハ220系はさすが軽快に加速し、S字カーブの連続を時速70キロ以上で駆け抜けていく。南由布院駅、庄内駅で列車交換。屏風のような山塊が幾重にも連なり、九州の荒々しい地形と本州とは違った独特の「大陸感」を感じた。九州も、併走する国道210号線も初めてでは無く、それどころか過去に何度も行き来したが、多くは夜間であったこと、また運転中は周囲の車窓を楽しむ事ができなかったので、初めて訪れたのに等しい新鮮さである。
豊後国分で列車交換。ここを過ぎると大分市の近郊市街で、乗客がどっと増えてくる。やがて高架線になり、近代的な高層ビル群が見えてくると終点の大分だ。
大分駅は駅の高架工事が進行中で、日豊本線をはじめ大半はまだ昔のままだが、久大本線の8番ホームは高架が完成していた。ローカル線のディーゼル列車が乗り入れるホームにしては少し違和感がある点は、昨日の山陰本線の出雲市駅で感じたものと似ている。というよりも記憶がクロスバックした。
大分駅ではブルーメタリックの883系特急「ソニック」や白が眩しい885系の特急「ソニック」、ステンレス&シルバーの883系の特急「にちりん」などなど、JR九州の新型特急が右から左へ、左から右へひっきりなしに行き交っており、子供のような興奮を覚えた。
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