昨日は島根県の宍道駅から下関まで山陰本線の鈍行列車を延々乗り継いでかなり体に堪えたが、今日も大分から宮崎まで九州の東海岸を日豊本線で延々下るのである。
日豊本線まだ昔からの平屋2番線ホーム。ホームには結構な人だかりが出来ていた。待つことしばらく佐伯行き
(4643M)が入線してきたワンマン2両編成の新型814系20番台。これも度肝を抜くデザインで、ドーンデザイン研究所の「作品」である。JR九州はインダストリアルデザイナー水戸岡鋭治氏率いるドーンデザイン研究所の作品のオンパレードだ。同氏はJR九州のデザインを一手に引き受け、特急車両に限らず通勤列車なども幅広く手がけ、JR九州のイメージアップに著しい貢献をしている。
この車両はそれに加えてJRでは初の日立製作所のA-trainシステムを用いて製造された車両である。最近は首都圏の私鉄でも少しずつ目にし始めた「A-train」ステムとは、建築で言うところの柱や梁を組み上げ、壁を取り付けていくのでは無く、いわばプレハブやユニットバスのようにモジュール化してかつ自動車のようにオートメーションで合理的に「組み立て」ていく製法で、アルミニウム合金を主材料に用いているのが特徴。「A-train」のAはアルミニウムの意味も込められている。
と、すっかり感心していたが、なんとこの列車は、オールロングシートではないか。さらに車内は首都圏なみの満員御礼のすし詰め状態。いきなりげんなりである。
気を静めて車内を観察すると、これまた奇抜を通り越してぶっちぎれたデザインだ。特に内装はまるで遊園地。テーマパークのアトラクションを思わせる土派手さ。と合理性。化粧板を廃したJR東日本の通勤車両で、川崎重工が用いたFRPなどによる内装仕上げのさらに上を行く。外装と一体となったアルミ合金むき出しに、「A-train」なるものを実感させられたのだ。
大分駅を出発してふと、今さらながら気がついたが。日豊本線は全線電化されているのだ。どうりで時刻表で知った小倉〜宮崎直通の特急列車がみな電車なわけだ。
さすがに本線らしく、単線だが、電車の加速で時速100キロで豪快に駆け抜けていく。
九州東海岸の背骨である日豊本線は小倉と鹿児島間462.6kmを結ぶ九州縦貫線で駅数はぞろ目の111駅。
日豊本線は当初北部は私鉄の豊州鉄道の手で開業。鹿児島エリアは国によって建設が始まったものの、その後は長年放置され続けていた。業を煮やした宮崎県は自前で宮崎県営鉄道を設立して建設を始める。その後ようやくすべてを国有化して建設が進められ九州を縦貫する1本の「本線」となったのだ。
幸崎で特急にちりんを待つ為に5分の停車。関アジ・関サバで知られる佐賀関半島の付け根の駅。
この駅を出ると山岳路線に入っていく。急峻な山道をディーゼル列車ほどでは無いにしても、モーターを唸らりっぱなしで駆け上る。半島を横断すると県下有数の史跡や遺跡が残る観光都市の臼杵。大友宗麟に始まり、江戸期は稲葉氏のもとで発展した5万石の城下町である。車では日豊本線の橋梁を潜って町に入っていたが、今回は見はらしの良い高台を走りながらのアプローチである。停車時間は短く、臼杵を出ると複雑に入り組んだリアス式の海岸線を縫うように走る。かつては陸の孤島も多かったが、道路や鉄道の整備によってそれらは解消されつつある。
それでも、途中の小さな無人駅の多くは集落からかなり離れた高台に位置している。
そして終点の佐伯に到着した。ここで乗換である。佐伯も2万石の城下町。戦前は軍都であった為に米軍の空爆によって焦土と化し、城下町を偲ばせる町並みは殆ど残されていなかった。
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